さて、いよいよ本番当日のすがすがしい朝がきた。
と言いたいところだが、昨夜は仮眠もままならず、熟睡できていない。
おまけに、バイクによる移動時の気温差でやられてしまったのか、昨日の夕方前からお腹を壊してしまい、何度かトイレのお世話になるはめに(汗。
国定公園内の特別保護地区で、大をもよおしリタイア!
なんてシャレにならない。
会場入りした直後にも、もよおしてしまった時には、さすがに、これはやばい、と焦ったが、この後、お腹の具合は最後まで沈静化してくれたのは不幸中の幸いだった。
朝の外の気温は約20℃、少し肌寒いくらいである。
高度が100メートル上がるごとに、気温は0.6℃下がるという。
スタート・ゴール地点のえびの高原ピクニック広場の標高は、約1200メートル。
日中の気温も炎天下というところまではなかったと思うが、標高500~1360メートルの間を、何度も上り下りする際の気温差で、体力を消耗してしまうらしい。
外はまだ若干暗いが、照明なしでも走れる状態、ほとんどの方がライトを身に付けていない。
私は朝の暗い間だけヘッドライトを使用し、手持ちライトも念のために携帯していくことに。
スタート → ウォーターステーション)
会場入りしたら、早速1.5Lのハイドレーションをチェックしてもらい、スタートゲート前へ。
遅いのに前へ出ると迷惑なので、後方から2割あたりに陣取る。
かっこい~いカウントダウンとともに、スタート(ここ、ビデオで撮れば良かったな~、と反省。
スタートの模様はこちらで(YouTubeアップ動画を拝借、見れない方は、
こちらをクリック。
マラソンと違い、スタートはみなさんゆるりとスタート。
国道1号線に折れてウルトラマラソンほどのペースで流れる。
しばらくして直ぐに山の中へ、登山古道となっているが、下りである。
最初はおっかなびっくり走っていると、土の上で靴がグリップを失い、早速横にズルっとなった。
やぱり、靴はトレイル用じゃないと、厳しいようです(めちゃ反省
それでも慎重に足を運ぶうちに、リズムを掴んで走れるようになってきた。
ここで前方に座り込んでいる方がいて、何人かで立ち止まる。
滑って両足首を捻挫したとのこと。
まだスタートして5キロ地点のこと、無念である。
しばらくすると、今度は右手から速いランナーの集団が駆けてくる。
コースを間違ったようである。
狭い道なので、ペースの遅いランナーを追い抜くのに、大変だったのではないだろうか?そうこうしていると、砂利道の上りに入り、13.3キロ地点のウォーターステーションに到着。
大塚製薬のアミノバリューという持久系アミノ酸入りのスポーツ飲料を頂いたが、ひと口飲んで、これがうまかった。
トイレもお借りして、たっぷり休憩後、次のエイドへ向かう。
ウォーターステーション → 第一関門 栗野岳レクレーション村)
日添林道という林道に入って、上って下る。
靴底が薄いので、砂利は嫌だったが、それ以外は走りやすかった。
その後、ロードに出てしばらく走ると、第一関門である25.5キロ地点の栗野岳レクレーション村に到着。
自分のペースで始終走って3時間ちょっとなので、まずまず順調。
ここまでは走りやすく、まだ疲労感もない。
たっぷりとエイド食を頂き、たっぷり休憩、ハイドレーションにお水も入れてもらい準備は万端。
激しい運動をすると、何故か飲みたくなるコーラもあったので、一杯頂く。
エイドを出る前に、氷で冷やした冷た~いお水を頭にかけてもらって、いざ次のエイドへ。
そう、次のエイドはスタート地点のピクニック広場である。
そこに辿り着けば、行程の半分以上をクリアしたことになるのだ。
楽勝だな!
な~んて、この時点では思っていたのだが、何かが違う、おかしい、これは罠だ、と胸騒ぎが?(そんな大げさな
そう、実は、ここからが、エクストリームな旅の始まりだったのである。
第一関門 栗野岳レクレーション村 → 第二関門 えびの高原ピクニック広場)
エイドを出て、直ぐに案内されたのが、何やらなが~い階段。
ニコニコとした若いスタッフの方から「日本一長い枕木階段で~す」と案内された。561段らしい(驚き
頂上が見えない、というか頂上と思ったところへ辿り着いたら、まだその先がある。
こんなとこ、走るお方はおられるのだろうか?
などと考えながら、ここは無理せずエッチラオッチラ歩いて上る。
やっと頂上につき、目の前の舗装道路を走るんだなと思ったら、山の中へ案内された。
そう、高低図を見ても、ここからはほぼ登山のようだ。
栗野岳頂上を目指し、そこから上っては下りを繰り返し、えびの岳をクリアすれば、ピクニック広場となっている、中盤のキツそうなルートだ。
上ったり下ったりを幾度も繰り返すのは、結構足にくる。
栗野岳までは、上りの傾斜が結構きつい。
そこを超えるとそうでもないが、段々と、どこにいるのか分からない感覚になってくる。
まあ、そのそも地図を見ても分からないのだが、そういう感覚が増す。
走れる箇所を見つけては走ろうとするのだが、なかなか前に進まない。
どのくらい経っただろうか?
ようやくピクニック広場からの音が聞こえてきた。
ショートコースの方のゴールを実況生中継している音だ。
しかし段々と、その音も遠のいていく?
コースマップを見返すと、えびの岳を周回してピクニック広場へ下りるようになっている(涙
やっと下界?に下りられる、と思ったのは、束の間だった。
その束の間からだいぶ経って、第二関門のえびの高原ピクニック広場(35.5キロ地点)に到着です!
ここまでの経過時間は、6時間40分?。
たったの10キロに3時間半もかかっている。
でもまあ、そんなことより、エイド食を楽しもう、スイカとグレープフルーツがあったので頂き、塩分も忘れずに。
トイレを済ませ、ハイドレーションに給水し、さて、と考えども、なかなか腰が上がらない(笑
その間に、ぞくぞくとショートコースのランナーが、ゴールして行く。
これ、100メートル走だっけ?というくらい猛然とゴールへ駆け込むランナー達もいた。
いいな~、とほくそ笑みながら、しばし自分がゴールしたかのごとく、ゴールシーンを堪能した。
そうやく腰を上げた時には、制限時間までの残り時間は、6時間半となっていた。
残り半分、実際にはそれより短いのだが、ちょっと際どい。
ペースを上げられるところがあるだろうか?と思いながら、次のエイドを目指した。
第二関門 えびの高原ピクニック広場 → 第三関門 白鳥温泉下湯)
いりなりの上りである。
硫黄のにおいがしてきた、硫黄山である。
硫黄山を抜けると、不動池という池が姿を現し、この辺の眺めがとても良い。
さんな中、ぞくぞくとショートコースのランナーとすれ違う。
「頑張ってください、もう少しですよ、お疲れ様で~す」、しかしここまで何度声をかけられ、そして声をかけただろうか?
喉が少しかすれ気味である。
硫黄山を越えると、下りに入る。
コースマップを見ると、これまたなが~い下りである。
この下りで、勝負を分ける異変(全然勝負になっていないが)が起きた。
下るたびに、ふくらはぎ→ひざ→ふとももの順に、ピキッと微電流が流れるかのような、痛みが走り始めた。
ここまで上りは、悪路、劇坂でないかぎり、スローに走れて、問題はなかった。
だが、下れないのである。
悪路で下れないのならまだしも、足が元気であれば、走れる下りでも、普通に下れないのである。
段差が大きいと大変だ、一呼吸おいて、着地するたびに、ウッと声がでる。
これは無理だという段差は、横向きになってカニさんのように下るありさま。
トレイルウォーキング?より、更に遅い。
実は、今までも下りがうまく下れなかった。
初めてクロカンを走った下りでは、思いっきりブレーキをかけてしまっていた。
さっそうと加速度的に駆け抜けていた、子供の頃の記憶とは、まったく一致しない。
ウルトラマラソン100キロの長崎の坂でも、やはり下りが思うように下れない。
長い時間・距離を走ったあとには、足にくるのだ。
下りがダメだという認識はあったのだが、ここまでになるとは、想像していなかったこと。
霧島・えびの高原の大自然の山の神に
「お主、修業が足りぬぞ、来年また出直してきなさい」
と言われたように感じていた。
下り方が良くないのか?筋力が足りないのか?(たぶん両方)良く分かっていないのだが、いずれにしろ克服すべき大きな課題が見つかった。
そんなことを考えながら永遠と、ほんとに永遠と下っていくにつれ、ふと気づいたら、ひとり旅になっていた。
そういえば、かなりの数のランナーに道を譲ってきている。
誰ともすれ違わない、追い越されもしない時間が来た。
それでも最後まであきらめずに、平地や緩やかな上りの区間に入った時には、走った。
そういう区間は、スロージョグだが、走れるのである。
走れるだけに、下れないのが悔しかった。
第三関門の直前に、沢があり、スタッフの方から、水で足を冷やすことを勧められた。
残り時間が厳しいので迷ったが、沢に入ることに。
なかなか靴下を脱ぐことができない。
やはり疲れてはいるのである。
キンキンに冷たい、超気持ちが良い、生き返る思いである、このままずっとこうしていたい、などと考えながら、ふと、自分が最終ランナーでは?と思い聞いてみたが、まだ最後のランナーを待っているとのことである。
だいぶ楽になって、沢を後にし、しばらくしたら、念願の第三関門である白鳥温泉下湯(50.5キロ地点)に到着した。
関門となる制限時間まで、あと残りわずか15分である。
ここでは、バナナとゆでたまごを頂く、エイド食を頂くことだけは、忘れないのである(笑
しかし、残り時間は3時間、エイドには3名ほど他のランナーもおられるが、なかなか出られない。
3時間で残り10キロ、いやGPSによると実際には10キロないはずである。
かなり厳しいのだが、可能性はまだある。
そう思って、ここのエイドは、一番はやく出た。
頭、両腕に冷たい水をかけてもらって、最後のエイドを後にした。
第三関門 白鳥温泉下湯 → ゴール)
階段を上って舗装道路に出たら、また直ぐに山へと入り込む。
少しだけペースが上がって、走行していたら、見たことのある風景が目の前に?
さっきバナナを食べたばかりのエイドである。
どうらやぐるっと回ってきたらしい。
スタッフの方が走って道案内してくれて、分岐点を間違ったことが判明し、コースに復帰できた。
上りではなるべくペースを上げながら進む意識はあるが、進まない。
下りでは相変わらず微電流に悩まされ、超スローペースになる。
そんなひとり旅を続けていたら、男性と女性の二人組が立ち止まっていた。
スタッフ以外のランナーに出会ったのは、久しぶりのことである。
「一人で行くのは心細いので、三人で行きませんか?」
と声をかけて下さった。
ブルべでもウルトラマラソンでもそうだが、人は過酷な状況になればなるほど、自然と集うものである。
ひとりでは乗り切れそうにない出来事も、寄り添い助け合えば、何とかなるものである。
ず~と上りだが、ここからは3名でゴールを目指すことになった。基本、ず~と上りであるが、行けども行けども、距離が進む感じがしない。
GPS上の表示が、それを証明している。
この辺で、制限時間内の完走は無理だな、と思うようになっていた。
というかそのことには拘らないように努め、最後までゴールを目指すことを中心に、考え始めた。
この辺の山の管理をされている方に出会い、えびの高原まではあと5キロくらい、という。そうこうしていると、えびの高原近くにあった不動池までの距離を示す標識があった。
うん、これはまだ間に合うのではないか?
しばらく、またそんな希望の中で歩いていたが、なかなかゴールは見えてこない。
どうなっているんだろうと思いながら進むも、GPS上では、やはりまだ距離がある。
コースマップを良く見ていなかったので、この後気づくのだが、不動池から御池、白鳥池と回り込んで、白鳥山頂上を超えてえびの高原へ下りるという、最後のモンスターが待ち構えていたのである。
これを知ったときに、私たち3名の制限時間内の完走は、なくなった。
実は、第三関門でハイドレーションの給水を忘れてしまい、ちょうどこのころに、水のほうも底をついていた。
御池のあたりで道しるべのリボンが見当たらなくなり、しばらくどっちだろうと考えあぐねていたところ、別のランナー2名と合流。
ほかにスタッフの方?も一緒に走られており、その方が電話でコースを確認してくれている。
このまま白鳥山を越えて、ゴールに向かうことになった。
前方から別のスタッフの方も来られて、疲労の溜まっていたお一人の方は、車でゴールへ。
スタッフの計らいで他のランナー4名で、白鳥山を越えてゴールに向かうことになった。
白鳥山頂上で、きれいな夕日に出会う。
雲海に太陽が沈んでいく瞬間である。
ここからあたりは薄暗くなり、持参してきたヘッドライトが功を奏す。
足にきているため、ここからの下りも、長い時間に感じられたが、ようやく会場に降り立った。
照明とカメラを持った方々に、ゴール前の少し高く盛られた芝生の上に、こっちです、と案内された。
なんのことやら?だったが、ここから走れますか?と言われる。
ええ、まあ何とか、と言って、ゴールに向かって走った。
会場には、もう他のランナーは誰もいない。
だが、スタッフの方々が残ってくれていたのだ。(申し訳ないです
照明を浴び、カメラで並走して頂くなかで、私も走ってゴールゲートをくぐることが出来たのである。
時計を目にしていなかったので定かではないが、Garminによると制限時間を45分ほど経過しての、想像もしていなかった最終グループでのゴールである。
ここまで触れていないが、山の中にはたくさんのボランティアスタッフの方々が、コース上に待機されており、その数に驚いた。
ひとり旅ぎみとなった特に後半では、そんなスタッフに会うたびに、勇気を頂きました。
最後にご一緒させて頂いたランナーの方々、そして、最後まで会場に残っていて下さったスタッフの方々、本当にありがとうございました。
制限時間内での完走は叶いませんでしたが、目標であった感走は、バッチリ達成です。
完走については、来年にお預けです。
さて、今週末は阿蘇望だ。
これも私にとっては、お初の大会。
こっちは完走したいな~。
おまけ)
前半戦を3分の動画にまとめました(こちらは私が撮影した動画
カメラの使い方が悪かったのか、いまいちなのですが、よろしければどうぞ。